- そ
- I
そ(1)五十音図サ行第五段の仮名。 歯茎摩擦音の無声子音と後舌の半狭母音とから成る音節。(2)平仮名「そ」は「曾」の草体。 片仮名「ソ」は「曾」の初二画。〔奈良時代までは, 上代特殊仮名遣いで甲乙二類の別があり, 発音上区別があったとされる〕IIそ(副)〔副詞「さう」の転〕そう。 そのように。III
「言葉デワ~デモナイトコロヲ教エ/天草本伊曾保」
そ(終助)動詞の連用形(カ行変格・サ行変格の動詞には未然形)に付き, 禁止の意を表す。 な。(1)一般に, 上に副詞「な」を伴って, 「な…そ」の形で用いられる。「物知らぬことなのたまひ~/竹取」「吹く風をな来(コ)~の関と思へども道もせに散る山桜かな/千載(春下)」
(2)院政時代以降, 上に副詞「な」を伴わず, 「そ」だけでも用いられることがある。IV「今はかく馴れぬれば, 何事なりとも隠し~/今昔29」
そ【俎】中国古代の供物を載せる台。 長方形の板に脚のついたもの。 青銅製の礼器が知られる。Vそ【其・夫】中称の指示代名詞。 それ。VI「植ゑし田も蒔きし畑も朝ごとに凋み枯れ行く~を見れば心を痛み/万葉 4122」「まことに, ~は知らじを/枕草子 137」「~が言ひけらく/土左」「~もまた程なくうせて/徒然 30」
そ【十】じゅう。 とお。 「みそか(三十日)」「やそしま(八十島)」などの形で用いられる。VIIそ【楚】中国の国名。(1)春秋戦国時代に揚子江中流域を領有していた国((?-前223))。 春秋中期に五覇の一人荘王を出し, また戦国七雄の一として斉・晋(シン)・秦と覇を争ったが, 秦に滅ぼされた。 中原諸国と種族・文化を異にしていた。(2)五代十国の一。 馬殷(バイン)が後梁(コウリヨウ)から楚王に封ぜられて建国(907-951)。 湖南を中心に広西の北部を支配。 南唐に滅ぼされた。VIIIそ【疎】(1)物と物との間がすいていること。 まばらなこと。 また, そのさま。⇔ 密(2)関係がうといこと。 親しくないこと。 また, そのさま。⇔ 親「両国の関係が~になる」「何ぞ余を接遇するの~なるや/花柳春話(純一郎)」(3)大ざっぱでいいかげんな・こと(さま)。「~なる所々御免成され下さるべく候/芭蕉書簡」
(4)律令制で, 弾正台の主典(サカン)。IXそ【疏】(1)箇条書き。 また, 箇条書きにした上奏文。(2)経典などの注釈書。 特に, 語句に注釈を加えたもの。 しょ。Xそ【疽】根が深く, うみをもつ悪性のできもの。XIそ【磯】〔「いそ」が他の語の下に付いて「い」が脱落したもの〕いそ。XII「はなれ~(離磯)」「あり~(荒磯)」
そ【祖】(1)その血統。 一家系の最初の人。「清和天皇を~とする」
(2)一つの教え・流派, 物事などを始めた人。 元祖。XIII「細菌学の~」
そ【租】律令制の税の一。 口分田・位田・賜田・功田などの面積に対して課税され, 収穫量の約3パーセントの割合で, 稲で納めさせた。 正税(シヨウゼイ)と呼ばれて正倉に蓄積され, 毎年出挙(スイコ)して利稲を国郡の費用にあてた。 田租。XIVそ【粗】(1)大ざっぱで, きめ細かでないこと。 荒っぽいこと。 また, そのさま。「当時の人情又~なるにより/日本開化小史(卯吉)」
(2)品質が悪いこと。 出来ばえが劣ること。 また, そのさま。XV「啻(タダ)に服飾の~に甘んじたばかりではない/安井夫人(鴎外)」
そ【素】(1)染色していない, 白地のままの絹。(2)〔数〕⇒ 互(タガ)いに素XVIそ【背】〔「せ(背)」の交代形〕せなか。 せ。 複合語として用いることが多い。XVII「~がい(背向)」「~びら」
そ【酥・蘇】牛や羊の乳を煮つめたもの。 「延喜式」では十分の一に煮つめるものとされた。XVIIIそ【阻】けわしいこと。 けわしい所。XIXそ【麻】あさ。 複合語として用いることが多い。「真(マ)~木綿(ユウ)」「真~むら」「打ち~」
Japanese explanatory dictionaries. 2013.